まきくま山

まきくま山の備忘録。 山歩き・美味しいもの・愉快な仲間


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気持ちのよい頂きだ。
双耳峰を形作るにゃんこ耳が、ピンと立ち上がっている分、爽快な高度感があるのだ。
西には、昨日から延々と歩いてきた尾根が、いくつものピークをへてこの頂きに至る。一つ、二つ、三つ、、、歩いているときは無駄に思えた登り下りも、こうして見ると風景を美しくする重要なファクターだ。
南は、昨年歩いた荒川三山と小さな雪渓が光って見える赤石の頂き。聖、兎、大沢、光と順にたどれば、まだ見ぬ南の南への憧れが高まる。
北は、そう、これから歩く長い長い陵線が大きくうねりながら間ノ岳、北岳へと続いている。そのまた向こうには仙丈、甲斐駒。
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遠く見える北岳を指差してロビが言う。

「マッキーは明後日にはあそこにいるんだね~」
うん、うまくいけば、ね。

ぐるぐるぐるぐる、どっちを向いても大展望な頂きで、師匠のいれてくれたコーヒーを飲み、まったり一時間近く過ごした。
タイムリミットは9時。ああ、もう10分も過ぎてるよ。
さあ、そろそろいかなくっちゃ。
先に進む昂揚感とロビ&師匠に見送られる寂しさ。
さらりとここで別れるのって、なんやオツでかっこええやん、と頭で思う。
1、2、3、4、5歩と進んでちらりと振り返ったとき、なんだか切ないかも、と心で思う。

ざれた坂をとっとっとっと下って、ロビと師匠のいる山頂を見上げる。
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真っ青な空に映えて、二人がえらいかっこいい。

わたしも、長い長い尾根の一部になって、きっとかっこいいに違いない。
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さあ、単独行のスタートだ。

と、かっこよく進みたいけど、なんだか何度もふりかえってしまう。
ロビの大声が響いてる。
もう、いいから、早くいきなさーい!!!

あはは。そ、そだよね。
早くいかなくっちゃ。

というわけで、やっとこさスタートだ。

まずは、ほんの20分ほどで蝙蝠岳からの稜線をあわせる北俣岳へ。ここからが下りの苦手なまきくまにとってはある意味核心部となる、ざれた急な下りだ。左側にぎざぎざの岩がそそりたち、その向こうには大きな大きな谷が広がっている。この風景のなかにあっては、自分がものすごくちっちゃく感じられる。なんだか、裸んぼうのあかんぼみたいだ。

下りながら、なんども振り返る。
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そのたびに、どんどん高く、大きくなる塩見を確認しながら前に進む。

やがて道は緩やかになり、しばらくハイマツの間を進む。
今日の敵は雷だ。
その敵と遭遇するのはいつなのか、いったいどれだけの威力をもった奴なのか。
いづれにせよ、私の取れる戦法はただひとつ。
稜線を駆け抜けること。一刻も早く樹林帯へ、一刻も早く次のテン場へつくこと。
これしかないのだ。
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雷を恐れて、早歩きを余儀なくされる登山者にとって、たとえハイマツでも木があることは心の安らぎをもたらす。

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北俣岳山頂付近から間岳を見る。
右が雪投沢のテン場か? 水場は汚染されているとかいないとか、幕営禁止とか可能とか、諸説あるけどこのロングな尾根ではありがたい存在かも


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塩見(右)、北俣(左)を振り返る。

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再び振り返って見る。このあたりからの塩見がいちばんかっこいい!


やがて砂地の広場のようなところに出る。そのままずんずん進んだら、道が途切れて、私の目の前には荒々しい崖があった。
08081009IMG_1769_20080908122929.jpgクリックで拡大
北荒川岳の大崩壊地だ。

むき出しになった土と岩が南荒川の谷にむけてどんどん崩れているさまがわかる。塩見岳付近は、南北の尾根と、東西の尾根が出会うところだ。ここで二つの力がぶつかりあい、せめぎあい、山は隆起と崩れを繰り返す。
地殻に作用している大きな力を目の当たりにして、ちょっとだけ脚が震える。
崩壊した崖の縁を行く道があるはずなのだが、どうみてもここは進めない。

すこしもどって、踏み後をたどると、稜線を少しだけ西にはずして進む道があった。
足元のフウロソウやコウリンカに癒されつついくと、
いつかダケカンバの間にマルバタケブキが咲く風景が広がっていた。
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小さな虫の羽音が聞こえる。

なんて明るく、静かで、穏やかな景色だろう。
ほんの10メートルほど左に通っている尾根を乗っこすと、その向こうはあの恐ろしい崩壊地だというのに……
そう、ここはオアシスなのだ。

南アルプスの稜線をずっと歩いていたら、マルバタケブキが好きになったよ。

まゆ太さんの言っていたことばが、今はすーっと腑に落ちる。
やがて斜面の右下に今は幕営禁止になっているテン場と古い管理小屋が現れ、登山道は再び稜線に乗っかり、ほどなく北荒川岳の頂上に至った。
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北荒川の管理小屋。現在は幕営禁止

先行者がひとり岩に腰掛けて休んでいた。
蝙蝠岳から来たとのこと。前日の雷のときは、ハイマツの中にもぐりこみテントをかぶってしのいだのだそうだ。
かなり憔悴した様子で、前日の試練を思わせる。

今日は今日とて朝のすっきりした青空はどこへいったやら。
あちこちで湧き出した入道雲が早くも大きな塊になって、空全体が暗くなってきた。
去年の悪沢岳での雷の恐怖がよみがえってくる。

それにしても、ここから振り返る塩見岳は圧巻だ。
081012IMG_1786.jpgクリックで拡大
大きく雄雄しく、見るものを圧倒する景色だ。

時間は10時30分。
熊ノ平までのCTは3時間弱。
よし、とにかく先へ進もう。

幸いなことに、道はここからぐんと下って樹林帯の中を行く。
そんなに下らんでもよろし、というくらいに下る。
暑い… ついさっきまで、稜線にいるのは気が気じゃあなかったのに、風のない樹林帯をのろいたい気分に陥る。
ほんとに、勝手なもんだ。

いくつもいくつも登ったり下ったりする。
そのたんびに、稜線のプチ岩場と蒸し暑い樹林帯を行ったり来たりする。
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深い森の中の道になったかと思うと、岩岩の稜線にポンと出る。
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空はすっかり灰色だ。足元のハクサンフウロにほっとする。

ハイマツの中でテントをかぶっていたという男性の恐怖が、想像のなかで際限なく膨らんでいく。
カメラにも触れず、展望地があっても立ち止まることなく、しゃにむに突き進むまきくま。
なんで毎年こんな風になっちゃうんだろ…

「安部荒倉岳まで1分」
道はほぼ稜線の東側を通っていた。だれも気がつかないで通り過ぎるとウワサの安部荒倉岳には、ちゃんと表示が出ていた。不遇の頂に同情した誰かが作ったのであろう手作り感満載なカンバンだ。
ほんの1分左にあがれば、頂上を踏める。なのに、その1分が命取りになる気がして、前に進む。

ほどなく道はかくっと右に折れ稜線を離れてぐんぐん下っていた。
熊ノ平が、近いな。

投げるようにザックをおろし、小さな草地にへたりこむ。
この山旅いちばんのダイナミックな稜線で、
あたしったら、景色も楽しまず、なにやってたんだろう?
せっかくのデジイチ、いったい何回出したんだ?

まだ、雨も1滴も降ってやしないのに、
ぴかりとも光ってないのに、
なにをそんなに怖がっていたんだろう。

気持ちが軽くなると、自分がおかしくってしょうがない。

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ああ、熊ノ平の小屋だ!

1時20分 無事到着!

続く


どんどんUPされてるぅ~^^
雷さまにせかされちゃいましたね。でも、わかる^^;あせるもん。
南は緑と岩のコントラストがステキ。画像を見て、やはりいいな~と思います・・・
2008/09/08(月) 16:03:00 | |hiro #SFo5/nok[ 編集]

雄大な山々の中を単独行の緊張感もまたよしですね。地形図で追っかけながら楽しませていただいてます。

>ぴかりとも光ってないのに
それくらいで、丁度いいんじゃないですか?前日のあの雷にあった後では誰だってびびりますよね。

なにはともあれ、熊ノ平小屋に無事到着、おめでとうございます。
2008/09/08(月) 17:34:49 | |監督 #yZfxqMi2[ 編集]
塩見の写真
特に最後のは良いですねぇ!
北荒川岳から下る直前の絵ですよね。「間近で見るのはおしまいだから脳裏に刻み込んどけ!」と主張しているようです。逆の場合、最初のチョットした試練(100mの登り)を経て、最初に遭遇する光景がこれですから!
どっちにしろ、薄雲のかかった凄惨な感じが前日の雷雨と併せて気分を物語っていますね。
2008/09/08(月) 22:20:23 | |K林@そろそろzzzZZZ... #W0p.A8Zs[ 編集]

何度見てもいい景色だなぁ。。写真もとってもきれいナリ。
塩見までつづくあの稜線は今でも脳裏にやきついてますよ。マルバダケブキのお花畑も。あの崩壊地のすぐ近くにある状況ってのがまた感動ですよね。

雷との戦い、わたしもそうだった。少しでも雲がわいてくると、さらに雲と雲のかすれる音とか聞こえるだけでも、ぞぞぞぞーって。でも、まきさんはひとりで戦ったんだよね。もっともっと怖かったと思う。がんばりましたねー
だけど、1時20分に小屋到着とは、まきさん歩くのはやいじゃーん!
2008/09/09(火) 12:34:35 | |まゆ太 #Uc1kfBME[ 編集]

青空の塩見からあっという間の黒い雲、あせりますよね~
写真の空の色を見ているだけでも、まっきーの心の不安がしのばれますね。
もう、雨、雷と言えばまっきーとインプットされそうですよ。ってまだ、降ってないか・・・
秋には絶対晴天ゲットだよね。
2008/09/09(火) 12:51:43 | |ぜいぜい #aRYHo2sk[ 編集]

塩見の反対側見れてしあわせぇ~
そっかー北荒川岳の頂上からの
塩見はかっちょええなー
それにさ、塩見から眺めてた気持ちよさそうなあの稜線が こんなに崩壊してたなんてね。
歩いてみないと判らないってことやね。

まっきーはカミナリさまは平気だよ。
だって オヘソ・・・やめとこっv-398
2008/09/09(火) 17:52:06 | |ロビン@仕事 #qIFa0De.[ 編集]

レポUPも早くなったね!熊ノ平小屋到着も早いね。
カミナリのBGMは、怖いもんね。
王子様のBMWなら、怖くないか・・・。(笑

南アのうねうねしたボリュームの山なみをゆっくり眺めながら歩きたい部分ですね。
天気のいい日に再びですね。
2008/09/10(水) 00:21:40 | |カモシカ #-[ 編集]

hiroさん
>南は緑と岩のコントラストがステキ。
北のような華やかさはないんですけどねー。なんか無骨で好きです。
そんなにとんがってないのに、近くに行ってみると、別の意味でとんがってる感じがいいのかもねー。

監督さま
>雄大な山々の中を単独行の緊張感もまたよしですね。
そうですね。1人のほうが思い切り山のなかにいる感じはします。
>>ぴかりとも光ってないのに
>それくらいで、丁度いいんじゃないですか?
うん。まあそうなんでしょう。実際、この日も早くテン場につけてよかった。。という結果だったんですよ。
南は小屋と小屋の間が長い。みんな言ってることですが、私のような鈍足にはここがネックになりますねー。

k林さん
>塩見の写真
>特に最後のは良いですねぇ!
おっ。これですか? ありがとうございます。露出もなにも考えずに撮っているので、上半分とび気味だし、ちょっとなあ、という写真ですが。。。
まあ、被写体がいいのでいいことにしましょう。
ロビには申し訳ないけど、塩見眺めるなら、断然こっち側からでしたねー。(ごめんちゃ)
>最初のチョットした試練(100mの登り)を経て、最初に遭遇する光景がこれですから!
チョットした試練にしては長くないかなあ。。。
でも熊ノ平からのほうが、朝の早い時間に稜線歩きができてよいかも、ですね。塩見越えれば三伏まではほんとにずっと樹林帯ですものね。
2008/09/10(水) 12:41:26 | |まきくま@お仕事 #E5Upi6Fk[ 編集]

まゆたたらん
>塩見までつづくあの稜線は今でも脳裏にやきついてますよ。
わたしもだす。精神的にきつくていっぱいいっぱいだったから、展望なんて楽しむ余裕なかったのにね。翌日はほんとうにゆっくり大展望たのしんだはずなのに、なぜか思い出すのはこの日の景色ばかりなり~ 人間不思議なものです。
>マルバダケブキのお花畑も。あの崩壊地のすぐ近くにある状況ってのがまた感動ですよね。
はい。まゆたたらの言うとおりでした。好きになったよ。
ただ、あればっかり茂ってるのは、なんだかなあ、ですね。鹿の食害でほかの花がなくなっていっているからなんでしょ? それは哀しいかもだね。
>雲と雲のかすれる音
そんな音すんの~?
聞いたことないかも。気が付かないだけなの?
今度おせーてね。
>1時20分に小屋到着とは、まきさん歩くのはやいじゃーん!
この日は飛ばしたもん。でもこれが最大限だよ。だからたいしたことありません。

ぜいぜいさん
>写真の空の色を見ているだけでも、まっきーの心の不安がしのばれますね。
私もね、今回写真整理してあらためて、どんどん雲がわく様確認して面白かった。ほんの1時間半なのにね。雲ひとつなかった空があれだもん。ほんとこわいね。
>もう、雨、雷と言えばまっきーとインプットされそうですよ。
ちゃうちゃう。
>ってまだ、降ってないか・・・
でしょー? 私は行動中にはふられてないよん。
>秋には絶対晴天ゲットだよね。
あ、だから、夏もゲットしてるってばさー。

ろび
>塩見の反対側見れてしあわせぇ~
あはは、ぜったいね。あっちからも行くべし。
塩見だけの眺めでいえば、あっちからのほうがすごかったなりよ。
>塩見から眺めてた気持ちよさそうなあの稜線が こんなに崩壊してたなんてね。
ほんとほんと。遠めには穏やかで雄大でただただ気持ちよさげな道だったのにね。
やっぱ、実際につきあってみないとわからんよね。あ、なんの話だっけ?
2008/09/10(水) 12:50:34 | |まきくま@お仕事 #Q87Hg5es[ 編集]

カモシカさま
>レポUPも早くなったね!
週末ちょっと時間があったのではずみついたかなあ。でも、今週後半はもう、無理かも(涙)
そして、あたらしい山にも行って、、、、続きはいつになるんだ???

>王子様のBMWなら、怖くないか・・・。(笑
あ、あたし、ドイツ車だめなんすよー。
>南アのうねうねしたボリュームの山なみをゆっくり眺めながら歩きたい部分ですね。
やはり逆コースでないと、この部分の時間が少し遅めになるので、夏山ならいくら天気のよいときでも急がざるをえないでしょうねー。
2008/09/10(水) 12:54:39 | |まきくま@お仕事 #E5Upi6Fk[ 編集]
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