まきくま山

まきくま山の備忘録。 山歩き・美味しいもの・愉快な仲間


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ごーーーーっ

山全体がうなりをあげているような、そんな音で何度も目が覚めました。
それでも小屋はびくともしない。
6人が並んで寝ているので寒さも感じない。
これがテントだったらどんなに不安な夜になることでしょう。


5時、  みんながごそごそと起きだしてきました。
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外では木の枝が大きく揺れています。

このまま帰ろうか? なんて声もあがるなか、ゆるゆると朝ごはんを食べ、荷造りをすすめます。

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風とはうらはらに穏やかな顔つきのお日様が昇ります。

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窓のかたちの赤い光が小屋の中にも届きました。

先に進むのか、後に退くのか、みんながどっちとも決められないでいるなか、なぜか、「行きましょう」と、声をあげてしまうまきくま。能天気が禍いして、こういうときおっちょこちょいな役廻りになってしまうのです。
このコースを歩いたことのあるk林さんが、尾根通しというよりは巻いて進む道であるとおっしゃったこと。昨日の道はやせ尾根も多く、戻るにせよ怖い思いをするかもしれないこと。
なにより、せっかくだから、狙ったピークに行きたい。こんだけ仲間がいるんだもの、平気平気。
なんていったって、奥多摩だもん、だいじょうぶ。そんなこんなで出た言葉でした。

すっかり日があがって、空は青く、つもった雪がきらきら輝いています。
8時、やっとこさ小屋を出て森の中へと列は進みます。
ほんの1、2分で一杯水の水場。
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もちろん雪の中、凍り付いて水の流れはありません。
そこでいきなりトレースがなくなり、かなりななめったところをへつるように進まなければなりません。樹林帯のなかだから、悲壮感はありませんが、いい加減に進んだらたぶん右の谷にずるずると落ちていくことでしょう。なによりこの先の道への不安がたかまります。
後方からは「無理しないでください」、「ここでもう引き返しましょうか」という声がとびます。
後ろからの声が聞こえないのか、聞こえていても意に介さず、なのか。。。
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がしがし進むK林さん。

あとの5人はひよこ隊となってひたすらついていくのでした。
K林さんはトレースのない道でも迷うことなくどんどん進みます。どんなふうに判断してるんだろか……。今度聞いてみることにしましょう。
たしかに、道は尾根を微妙にはずしてついています。なので、頭上でうなっている風に直撃されることはない……と思っていたら、ほんの2、30メートルの間なのですが、林が途切れ、尾根の上にのっかったとき、いきなりきました。
とつぜんカラダがぐらっと横にもっていかれそうになり、つもったザラメ雪がばちばちと顔に打ち付けられました。
かけていたサングラスに雪がついてあっという間に凍りつき前が見えなくなりました。ごーごー風が吹き付ける中で立ち止まってもたもたしていたら、ココは速く通過したほうがいいよ。と後ろにいたまゆ太さん夫妻が先に行きます。確かにこんなところでサングラスにかまっている場合ではなかった、と我にかえりサングラスはしまいこんで先に進みます。

9時、急な斜面をぐっと登って蕎麦粒山の頂に到着。
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このあたりはまだまだ余裕の蕎麦粒隊でしたー。

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ぐんぐん降りては登り、降りては登りという繰り返しのなかで、ときおり突風地帯に入ります。。。
急斜面を一歩ずつ登るとき、突然上から吹き降ろした風にどんと押され、後ずさりしたり、横殴りの風にあおられてバランスをくずしたり。
風の力はほんとうにすごい。
そして、ほんのちょっとの地形の具合で風はすっかりさえぎられ、登山道はぽかぽかの陽だまりに様変わりします。

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雪山ハイクの楽しさで、気持ちも浮き立ちます。
そんな歓びと苦しみの繰り返し。

そして
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木々の間から透かすようにひっそりと、

ときには
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視界の開けた小ピークからすかっと気持ちよく、
長大な石尾根と、いつか踏破したい長沢背陵が見渡せます。
それはしみじみと心にしみてくるやまなみ。
ひとりきりか、大好きな仲間とだけ一緒に見ていたい、たいせつな風景。

なぜかトレースがふっつりと途切れるところもありました。先頭のK林さんは、疲れ知らずに淡々と、ラッセルラッセル。途中で¥ちゃんが前に出てラッセルを買って出てくれたことも。
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K林さんの足跡を忠実にたどる5人。私たち蕎麦粒隊のトレースがしっかりと刻まれていきます。

川苔山の頂上へとつながる最後の陵線に出たときが、このコースいちばんの突風でした。前へ前へと進む隊から、徐々に遅れをとってしまったまきくま。カラダの右側から、絶え間なく強風が襲い掛かってきます。前に進もうと片足をだすと、よこにふらーり。風の止む間がないので、とにかく先に進むしかありません。
前方に小屋を見つけたときは、御殿のように見えました。
壊れた扉の横をすりぬけて中に入るととりあえず風がさえぎられ、心底ほっとしました。

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それぞれ暖かい飲み物をだして、一息つきます。

一息ついてあらためて見回すと、これがとんでもないおんぼろ小屋です。屋根は破れ、トタンがばたばたと音をたてています。すさまじい突風が吹いたときには、屋根のトタンがばらばらと落ちてきました(!)
ここにいても身の安全は確保できないかも。。。
不安になってきたので、早く降りましょうと提案してみます。
まゆ太さんも、もう頂上などいいから降りましょうと、主張。
「頂上までほんの200メートルですよぉ。景色いいですよぉ」とK林さんはあくまでも前向き。
しかし、まきまゆの意思は固く、結局みんなで降りることになりました。

で、小屋の横から南側の谷に降りたとたん。

ほんの10メートルしかきていないのに。

風はぴたり となくなりました。

そこからは先は、
ぽかぽか、さくさく、そして下のほうはところどころつるつるにどろどろ。

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これぞイメージ通り、THE 奥多摩雪中ハイクを満喫したのでした。

この日の行程、もしもk林さんがいらっしゃらなければ絶対に不可能な状況でした。
私はつねに、これが1人だったらどうしていただろう、これがもしも3000メートルの稜線だったらどうなっていただろう。果たして私は冷静に乗り切ることができたんだろうか。と、そんなことを考えながら歩いていました。
もっとも、ひとりなら小屋から2分の一杯水で敗退していたことは間違いないですけどね。ははは

k林さんが終始淡々と冷静に歩いていけるのは、体力はともかく、今までにいろんな状況を経験されているからだろうな、とも思いました。そしてそんな仲間がいるから、とりあえずは前にすすめたんだろうな、自分。

わたしにとってこの山行はすごく意味のあるものだったと思います。なんちゅうか、ものすごく経験値アップした気がするのです。
起りうる事態をどこまで想定出来るのか。経験の引き出しは、たぶん冷静な行動のために不可欠なものであるはず。

この山行をともにしてくれた、K林さん、U太くん、まゆたたらん、¥ちゃん、めぐちゃんに、大大大感謝なのであります。

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おまけ
24日付けの朝日新聞より
発達した低気圧の影響で23日、全国的に強風が吹き、荒れた天気になった。東京都心では最大瞬間風速27.9メートルを観測。気象庁は関東地方でも「春一番が吹いた」と発表した。24日も強風が吹き、日本海側では大雪になる見込みで、気象庁は警戒を呼びかけている。

この強風で各地で被害が相次いだ。千葉と神奈川、栃木の3県で合計15人が重軽傷を負った。

首都圏の鉄道各線も運転見合わせが相次いだ。JRでは山手線、埼京線を除くほとんどの路線が一時止まった。

うっ、そんなことになってたなんて、下山して初めて知った蕎麦粒隊でしたー。
ちなみに、うちの職場では日曜日、重文のたてもののガラスが風で割れました。とさ。

それにしても、写真って、風写んないですねー。このレポ、ぽかぽかひだまりハイクにしか見えへんやん!


k林さんはすごいですね。
尊敬しちゃうなあ~
昨年同時期に行ったときは雪ほとんどなかったから問題なかったけど、今年くらいの雪なら自分一人じゃ絶対無理っぽそう。
2008/03/11(火) 23:45:04 | |ぴかさん #-[ 編集]

 ひや~、やっぱ怖いやん。よくがんばりましたねー。私だったら一杯水で撤退してます。んで、emiさんだったら前進してたでしょうね。
 川乗山の避難小屋、ボロボロだったの覚えてますよ。頂上はそのすぐ先で、それまでの道程に較べたらぜんぜん大丈夫そうなところです。それでも皆さんに合わせたK林さんは素晴らしい方ですね。
2008/03/12(水) 07:32:16 | |監督 #yZfxqMi2[ 編集]

k林さんの株は上がりっぱなしでとどまるところを知りませんね。

経験値の高い方との山行はホント勉強になりますね。

>それにしても、写真って、風写んないですねー。

この一言がいかに強風であったかを物語ってますよ
2008/03/12(水) 12:39:13 | |食う寝る@おひす #EBUSheBA[ 編集]

まきさん、レポ読んだよ~。
あの楽しかった週末がまたよみがえりました。確かに風つよかったけど、それはそれで勉強になりましたよね。赤岳講習のときにならった耐風体勢の実践ができましたよ(苦笑)。風の強さはまあいいとして、変なもの飛んでこなくてよかったなと思いました。あの廃屋に石が飛んできたときは青ざめましたね(汗)。ともあれ、K林さんがいい表現してました。「強風も、あの山旅の思い出のいいスパイスになった」って(^^)。思い出を強烈にしてくれてますよね(笑)。
だけど、雪景色の奥多摩を、奥多摩をいとおしいと思う人と一緒に眺めるって、最高ですよね。今回も、素敵な思い出をありがとう!いつかもっと穏やかな風が吹いてるときに、川苔、みんなでリベンジしにいきましょう!
#あと、キムチ鍋ぼっか、おつかれさまでした!美味しかったです!
2008/03/12(水) 12:41:06 | |まゆ太 #Uc1kfBME[ 編集]
ほんと、風は写らない!
風邪はうつるのにね...
いつもながら冴えた描写(チョットこそばゆいけど...)ですねぇ。まきくまさんがいると、こうして二回楽しめるので、得したような気がします。でね、¥チャンも、あれでしっかり後ろをガードしたり駄洒落で空気を解したりとエンの下の力持ち的存在だったよね。

>監督
「合わせた」んじゃなくて「せざるを得ない」状況だったんす。本当は頂上で自分たちの軌跡を振り返ってフィナーレとしたかったんですが、あの風じゃ仕方ないですね。
川乗山はいつでもいけるので、滝も絡めて、また今度行きましょう!
2008/03/12(水) 12:56:02 | |K林@お昼寝 #W0p.A8Zs[ 編集]

ぴかさん
K林さんはすごいけど、ぴかさんも……
>今年くらいの雪なら自分一人じゃ絶対無理っぽそう。
いやいや、たぶんだいじょうぶ。
わたし、基本的にトレースないところなんて歩いたことないので、もうそれだけでびびりましたーーー。
だったら、ちゃんと地図読み勉強せいってことだよね。うんうん

監督
そっかー。川苔行ってるんですよね。きっと近いうちにリベンジしますよん。emiさんだったら、行ったかなあ……うーん、そう思っちゃう監督ってすごいかも。。。うん、いい夫婦だ。(きいたふうなことをいう)

食う寝るさん
そうなの、ほんとにすごい風だったんですよ。でも、写真見るとほんとにぜんぜんですよねー。あえて長時間露光とかにしてぶれぶれにすればよかったかなあ。

まゆたん
おー、よみがえった? よかったよかったー。こうして書いておくとあとで自分で楽しめるよねー。ブログよ、ありがとーって感じ。
また、行こうね。今度はテントかな。。

K林さん
>エンの下の力持ち的存在だったよね。
ほんとほんと。¥ちゃんがみんなに愛されるゆえんですねー。
寡黙なのか、おしゃべりなのか、まだいまひとつつかめませんけどね。。奥さんのほうは間違いなく、○○ゃ○○ですけどね。あ、二日目は川苔まではさすがにしゃべらなかったですね。そのあとはずーっとしゃべってたけど。。。(←自分もだろー)




2008/03/12(水) 23:33:20 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

まきくまさん、こんばんは。
お写真だけ見てると、ほんとにそんなにとんでもない風だったんですか?? という感じですね。
でもって、水場の次の、えらい斜面を進むK林さん、こんな所をずんずん歩いていけるなんて、すご~い!
ともあれ蕎麦粒隊の皆さま、お疲れ様でした。思い出に残るお山だったようですね。(かなりこわそうだけど。^_^;)
2008/03/13(木) 22:56:30 | |アランチャ #Toq/Ej/c[ 編集]

わー写真全部デジイチですね。私は2ヶ月山へ持っていってません。最近は浅漬け撮るのに使ったきりだなぁ笑

私も雪の時期に歩いてみたいなぁ。もちろん風は穏やかなときにね。
2008/03/13(木) 23:43:43 | |たここ #USldnCAg[ 編集]

アランチャさん
山って、なんかへんなこととか、困ったこと起きるほうが思い出深いものになりますよねー。
って、あんたはいつもやんかー
って、つっこみはなしね。

たここさん
あーーー。
言われてしまった。恐れていたことを。

こ、これ、ぜんぶ コンデジですわ。
このカメラかなりいいです。
とすると、じゃ、デジイチの必然性は? ってはなしになるのか。オマエのデジイチの腕はそんなもんや、ということになるのか。。。。
だよねー。

ちなみに、春風ジョグの記事の後半、すみれちゃん以降の7枚はデジイチでしたー。ふんと、なにがいいんだかわかんないなあ。
2008/03/13(木) 23:58:25 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

えーっと デジイチv-212不要になったんなら
うちの前においといてぇ~ てへっ

K林さん ほしぃぃぃー
ザックにいつも入れときたい~
2008/03/14(金) 08:08:50 | |ロビン@仕事 #qIFa0De.[ 編集]
やっぱり
これだけは書いておいたほうが良いようなので...
あの斜面につっこんだ時の判断材料ですが
 1.以前歩いた経験から、斜面がずっと続くことはないとわかっていた。
 2.下に立派な登山道があるので、その上方(山側)を歩く限り安定している。
 3.ずり落ちても(ヒイヒイしながらでも、とにかく)上り返せる。
 4.雪質+樹林から判断して雪崩ることは無い(表雪は吹き飛んでいる)。
と考えました。
要するに、少しは考えてたってことを、言っとかないとまずいかなぁ?
上記条件(特に1.)をクリアせずに、あの状況で、進むのはむにゃむにゃ...
2008/03/14(金) 18:21:42 | |K林@一休み #W0p.A8Zs[ 編集]

ロビ
不要になったとは言ってないでしょうが! そう、ちみはそんなことを言うのか。私のデジイチ写真がそんなにヒドイと……ふん、だ。

k林さん
なるほど、あの下に登山道あったんですか? そんなこともぜんぜんわかんなかったっす。登山道があの短い間だけ崩落しててあんな封なのかと思ってた。いやいや、K林さんがなにも考えてなかったなんて、ちーーーーーとも、だーーーーーれも思ってませんが、でも、この判断基準書いてもらってよかったです。勉強になります
で、てことは、私たちだけだったら、あの場合、あそこでストップが、正しい判断ですよね。
明日またお話しましょー!
2008/03/14(金) 19:02:39 | |まきくま@もう少しで帰ろう #E5Upi6Fk[ 編集]

>こ、これ、ぜんぶ コンデジですわ。

あ、そうなんだ笑
画像サイズだけ見て言っちゃったよ。
って、あれ?コンデジは何持ってんの??
2008/03/14(金) 20:27:55 | |たここ #USldnCAg[ 編集]

たけさん
ああ、もう昨日直接言っちゃったからいっかー。
えとカプリオ、リコーですよ。
2008/03/16(日) 22:49:34 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]
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