まきくま山

まきくま山の備忘録。 山歩き・美味しいもの・愉快な仲間


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完全賞味期限切れシリーズです。さかのぼって読もうという物好きな方は
1悩み多きスタート
一つ前にもどる人は
6雷鳥とゆく稜線

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悪沢岳の頂上であったのはふたり。ひとりはずっと抜きつ抜かれつしている男性。今日は千枚小屋まで。もうひとりは反対方向からきた男性。今日は荒川小屋まで行くという。
雨はこのときはすっかりあがっていたし、私以外は遠くの雷鳴など気にしていない様子だ。そういえばもうほとんど聞こえない。でも、油断大敵。休憩もそこそこに先を急ぐ。
午後1時40分。この稜線には、たぶんもう、この3人きりだ。

IMG_2319.jpg
頂上付近だけなぜか柱のように大きな岩が屹立する荒々しい風景だ。

花もなんにも咲いてやしない。
IMG_2317.jpg
そしていったんは遠のいていた雷鳴がまた、だんだん近づいている気がする。

うん、確実にまた鳴り出した。

そして、悪沢の名にふさわしい岩岩帯をぬけると、一転して穏やかな、その名も丸山(3032メートル!)の稜線が現れた。
IMG_2331.jpg
なんとまあ優しい山だこと。
でも、でも、これじゃあ、雷から逃れるところなんかないっちゅうに!
また雨も落ちてきたじゃないか。

ここからの速かったこと。まさに脱兎のごとく、駆け抜けるように歩いた。
程なく千枚岳直下の岩場にさしかかる。昭文社の地図には「ガレの縁のやせた稜線を歩く」という記述がある。
自分の背丈ほどはあろうかという大岩も、いつもなら立ち止まってちょっと躊躇する切れた岩場も、がんがん突き進む。岩の上にのっかったときは、雷が怖くて怖くて、もうころがり落ちるぐらいの勢いで岩からおりる。なんだか自分の動きが早回しになってるみたいで、ちょっと滑稽だ。(って、客観的に見みればゆっくりなんだろうけどね)。よって、このあたりの写真は一切なし!

岩場にはこの山行で逢えるのをとても楽しみにしていたタカネビランジが咲いていた。はじめてのご対面だ。
白いのとピンクのが風に吹かれていた。
IMG_2340.jpg
晴れていたら、きっと若いお嬢さんのような華やかさとかわいらしさをもったお花だね。
ずいぶん険しいところに咲いているのを目の端にとめながら、とりあえず証拠写真を一枚だけ撮って、前に突き進む。

岩場を乗り越えてなだらかな斜面を横切れば千枚岳頂上だ。カメラも出さず、もうあと一歩のところになった樹林帯に逃げ込みたい一心で、斜面を駆け降りた。

ああ、これで大丈夫。
稜線を直進する道と千枚小屋に下る道の分岐まできたら、緊張がふっと解け、その場に座り込んだ。
この山旅の稜線の景色もこれで終わりだなあ。ようやく赤石と荒川三山を振り返ってみる余裕ができた。稜線にはまだ黒い雲がかかってはいるけれど、私の頭の上にはいつか青い空も見えている。
そういえば雨もあがってる。
はぁ、なんだかなあ。

と、そこへ件の男性が追いついてきた。
「はぁ疲れた」
と言ってすぐそばに座り込む。もう顔なじみなので挨拶もなにもなしだ。

「雷こわかったですねえ」と、まきくま。

「え? 雷? ああ、なってましたねえ」

「………」

うっそー。なによー。

私の思い込み? 恐怖の妄想?
なんか、おかしくて、ほっとして、笑えてくる。

あとは千枚小屋までほんの数十分くだるだけなので、なぜかそこに座り込んで長々とおしゃべりをした。 

山のこと。家族のこと。最近膝を悪くしたのでテントは無理なこと。おまけに通風でビールが飲めないこと。
なんで、山の上で見ず知らずの人の通風話聞いてんだ、あたし。
って思ったら、おかしくて、おかしくて、ますます話がはずむ。
30分以上話していただろうか。
山の上って不思議だ。

少し寒くなってきたのを汐に、たちあがって小屋に向かう。
IMG_2342.jpg
樺の木に守られた、ウサギギクが咲く、優しい山道だ。

IMG_2346.jpg

マルバダケブキのお花畑をじぐざぐに横切ると赤い屋根の千枚小屋だ。
小屋前の広場で休んでいたのは、今日の午前中に前後して歩いていた単独の男性。今日はどこまで行こうか? と逢うたびにお互いの「悩みごと」を話し合っていた人だ。
「来ちゃいましたー」と言ったら、びっくりしていた。

受付をすませ、小屋泊まりの人がくつろぐ広場をあとにテン場に向かう。小屋とテン場は10分以上離れているので、すでにビールもしっかり購入。
途中にトイレがあるが、どうしても荷物を降ろすのが億劫でテン場まで降りる。
テン場は林の中。すでに10張りくらいのテントが張られかなりにぎわっていた。なるべく地面の乾いているところを選んでテントを設営し、中に入ったら、ほんとうに緊張の糸が切れて動けなくなった。
うーん、ものすごくトイレに行きたいけど、どうしても動けない。
これじゃ、ビールも飲めないよ。
そのへんの林に入ってしちゃおうかと思ったけど、人が多すぎて無理。もう、ほんとうに瓶でもあったらそこにしちゃいたいくらいに疲れていた。
仕方ないので重い足を引きずりひきずりトイレまで登り返して用を足す。
テントに帰ってきたら、そのまま寝てしまいそうに疲れていた。

赤石小屋を出たのが4:20。
千枚小屋到着が15:40。
ほんと、今日はがんばったもんね、自分。
ていうか、あきらかな判断ミスだったなあ、自分。

とにかくビールでカンパイ。
ナッツをつまみ、、、
500缶を呑みきる前にばたんきゅー。

しばらくして起きると、テン場には少し傾いた夏の日差しが溢れていた。
テントの窓を開けて、林の中を抜ける風を招き入れる。
IMG_2347.jpg
ああ、私って幸せだ。

8 新しい朝 に続く


うん。私も幸せだ!
って、まっきーのレポ読んだら独り言いっていたよ。。。(笑

南アはいいねぇ~~。
2007/12/26(水) 20:11:18 | |木曽駒 #6wH.DH8I[ 編集]

木曽駒さん
わー、こんな賞味期限切れにコメありがとう!
いま、やっとこ完結編完成。で、わたしも幸せなのだー。
さて、次はたけ小屋オフ完結編だ(忘年会にあらず、その前のまだ完結してないんよー とほほ)
2007/12/26(水) 22:49:21 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

あ~、最後の一言に、全てが語られていますね。
素敵な感慨ですな~
2007/12/27(木) 22:52:02 | |食う寝るさんだ~す #EBUSheBA[ 編集]

くねるさん
まあ、テントでだらだらしているときはたいてい幸せですね。でも、いっぱい歩いたあとはもっともっと幸せですね。ああ、また夏山に行きたい。遠い目。。。
2007/12/27(木) 23:46:47 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

こっから先はわたしの知らないところナリ。千枚小屋のあたりもマルバダケブキのお花畑なんだー♪いいですよね、あの雰囲気。南アルプスらしいっていうか、なんというか。
カミナリオバケ、用心しすぎるくらいがちょうどいいかもしれませんね。だから、無事だったのですよー、まきさん!

#あっ、大菩薩の件、いいかもですねー。でも、○○粒山もいいかなとも思って。どっちがいいですかね。どちらにせよ、ワクワクですなー。あのときに相談しますかね(^^)
2007/12/28(金) 11:15:08 | |まゆ太 #Uc1kfBME[ 編集]

まゆたん
そっか。千枚は行ってないんだっけか。そこから転付峠ってのも歩いてみたいなあ。まだまだ行かなきゃいけないところはたくさんだよね。
カミナリオバケはほんとにこわい。あの気分がとにかくいやなんだよね。
大菩薩の件、粒もいいけど、冬はますます人入ってないだろうから厳しそうかも。って小○沢くんもそうなのかな。とにかく経験のない世界だからなあ、無謀かしらん。。。
2007/12/29(土) 01:43:51 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]
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