まきくま山

まきくま山の備忘録。 山歩き・美味しいもの・愉快な仲間


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雪がしまっていてアイゼンが効くうちにアタックすること。
それが鉄則だ。
さらに、下山後の温泉・バスの時間などを考慮すると5時出発ということになった。

朝
日が長くなった。4時頃には明るくなってくる

1時間おきに目覚めるまきくま。背中の雪面が冷たい。シュラフカバーをきっちり閉じていても肩先から冷気が入ってくる。グランドシート+銀マット二つ折り+エアマットでもこれだ。やはりモンベル♯2では無理なのだろう。かといってこれ以上重いものがもてるわけもない。着ていたダウンのインナーを一旦脱いで肩と首の周りに巻きつけてみた。着ているよりずっと暖かい。
それよりモンダイは、この斜めった地面だ。ずるずると足の方に落ちていくのがつらい。やはり、きっちりと整地すべきだった。
それでも、1時間ずつはぐっすり寝ているのだからよしとしなければいけない。テントの中で目が覚めて、ああ、山にいるんだな、と思うその瞬間が私は好き。目覚める回数が多ければ多いほど幸せもたくさんってことだ。

3時30分起床。昨日に引き続き雲ひとつない快晴だ。加えて無風。これは神様が味方している。
めいめいで朝食を済ませ準備を進める。きっちり5時には準備万端。アイゼン、ハーネス、ピッケルという本格装備でいざ出発だ。

4人
右からビスターリさん、まきくま、オーロラさん、キューちゃん

赤岳の初心者向けガイド登山ではアンザイレンするという。
「わたしは、そうしたところで止められはしないから今回はしないよ。そのかわり、だめそうなときはすぐにロープ出すから」と、オーロラさん。

なにがどうモンダイなのか、正直あまりわかっていないまきくま。ふんふん、とうなずくばかり。

ルートは文三郎尾根のピストン。昨日の主稜アタックの再に道の状況を確認できているからだ。
トップはキューちゃん、一歩一歩ゆっくりと登っていく。セカンドはビスターリさん。そしてまきくま、オーロラさんのオーダーだ。中岳のコルへの分岐まではなだらかな道。その先ぐんぐんと斜度が増し、急登に突入だ。

阿弥陀
雪に埋まった分岐の道標

夏ならあの鉄の階段が延々と続く尾根。いまは完全に雪の中。どこに階段があるんだか、まったく想像もつかない。
とはいえ、昨日の登山者によりしっかりステップが切ってあるので、それをたどればまずモンダイはない。しかし、だ。ちびっこのまきくまには、たいていの場合、このステップが大きい。加えて朝いちばんに弱いので、ひとりはあはあぜいぜい。自分ではあまり意識していないのだが、時々足元がぐらっとする。と、すかさずオーロラさんの手が、後ろから私の背中に触れてくる。

な、なに? この人? 本気で私をサポートしようとしてる??

こんな言い方も失礼かもしれないが、そのとき正直驚いた。
ずっと私のこと見てるの?
これは心して歩かねば。

オーロラさんの気迫に、こちらの緊張感も増す。

樹林帯を抜けしばらく急登をこなしたところで立ち止まったオーロラさんが、斜面を振り返り「ここ、ロープなしで降りられる?」 と、聞いた。スキーでも、乗り込むのにちょっと勇気がいるかな、というくらいの斜面だ。つまりかなりの急斜面。
大丈夫なような、無理なような。いや、いつも山に来たらどんなところでも、なんとしてでも降りているんだから、「降りるよ」としか言いようがない。そんなこと聞かれてもなあ、と思った。たしかに、滑っていきそな感じもある。あいまいな返事で前に進む。
そこで、いまさらながら気づいた。そっか、夏山はずるっといっても、ただそこで転ぶだけで、よほど切れ落ちたところでなければ大事には至らない。でも、ここは違う。もしもずるっといったら、おそらくこの急斜面の底まで止まらないのだ……。もし自信がなければ、いちかばちか降りてみる、のではなく、それなりの方法を選択すべきなのだ。

少し平らなところで立ち休み。オーロラさんが、私の荷物を途中の杭にデポしていこう、と言い出した。急登で息が上がってはいるけど、水とおやつだけのザックが負担になっているとは思えない。しかし、たぶん彼女から見ればなんとも心もとない歩きっぷりなんだろうな、と思う。そして、この先の岩場のことを考えると、私にはまったく未知の世界だ。これはオーロラさんの言うとおりにしたほうがいいに決まっている。というわけで、貴重品と水がおふたりのザックに納められ、鉄の杭にザックをくくりつけて先に進むことになった。

これを読んで「オーバーな」、と思う人がいるかもしれない。雪の赤岳っていったって、さくっと登れたよ、と、言う人はきっとたくさんいるだろう。

しかし、たまたまその結果は同じでも、どれだけ危険を回避するための策を講じてきたか。そのひとつひとつのプロセスが、どこかでなにか大きな差になって現れるとことがあるかもしれない。と、私は思う。実力をあげる努力をすること、この場合、体力をつけることや、技術を身につけることと同様、万万が一に備えて、慎重な判断を積み重ねていくことが、重要なのだろう。
実際、ほんの数キロのザックでも背中からなくなれば、気分も体も実に楽になった。いざというときの身のこなしが違うのは自明のこと。

さ、もうしばらくこの雪の斜面を登らなくては。
前方にピッケルをさしては、ぐいっと次の一歩を踏み出す。

展望
立ち休みの際に撮った写真。今回は歩行中の撮影は自粛した

道はいつしか、急斜面の直登からトラバース気味の登りに変わる。足元から雪の小さな塊がからからと乾いた音をたてて斜面を滑り落ちていく。ふーん、ここ、滑ったとしたら、やっぱり下まで……なのかな。と思う。頭のなかでかつて習った滑落停止の動作をシミュレーションしてみる。ほんとうは、それよりなにより、一歩一歩足元に集中して前に進むことのほうが肝心だ。山側斜面にピッケルをさしつつ、しっかりとアイゼンを効かせて進む。オーロラさんは斜面の下方、私の一歩横をぴたりとついてくる。つまり、こういうことだ。私は先行者のステップをたどってトラバース。オーロラさんはその少し下のトレースのないところを歩く。

う、  この人、本気で私をサポートしようとしてる。

ぴたりとつくことによって、なにかあったその途端に制動する。転ぶ前に支える、ということなのだろうか。しかし実際には、私より小さくて(ここのところ本人的には異論ありのようですが…)かつ華奢な(これは異論ないと思うけど)オーロラさんに、私の体重が支えられるわけないよなあ、と思う。こうなると、とにかくなにがなんでも転べないじゃないか。
これって、転ばせない作戦??? うーむ、やるなあ……

分岐
阿弥陀と赤岳を結ぶ稜線に乗っかった

ますます緊張して一歩一歩慎重に足を運ぶまきくま。
ようやく頂上直下の岩岩地帯に突入だ。3点支持を意識しつつ、ピッケルを使ってよじ登る。
とても急なところでは、ピッケルの先端を使う。要所要所でオーロラさんが指示を出してくれるので、精神的にとても楽になる。不安を伴う行動では、自分で判断するよりも、信頼できる人に言われたとおりに動くほうがずっと余裕ができるものだ。

こうして、自力とは到底言い難い状況だが、とにもかくにも

赤岳に登頂しました!

最後の1歩
最後の1歩! おめでとー

最初のワンピッチを除けばそれほど息も上がらなかったし、ちょっとあっけないくらいだった、というのが正直なところ。
だがしかし、ほんとうにほんとうにうれしかった。
自分が、緊張感を保って、ここまで登ってこれたことに、とても満足した。
そして、うれしさを抑えきれずに動きまわるまきくまに、そこでは滑るとか、ここに座れとか、うるさく言ってくれるオーロラさんとキューちゃんに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
実際、モブログ写真を送ろうとして携帯を取り出し、ふと地面に置いたとたんに、ものすごい速さで滑り落ちていく携帯を、すかさずキャッチしてくれたキューちゃんには、もう、感謝しても感謝しきれない。
(ん? なんか、いままでシリアスだったのに、ここでいつものお笑いか~?)

IMG_0114.jpgクリックで拡大
権現岳と、甲斐駒ケ岳、仙丈、北岳

私の大好きな権現と南アルプスという展望を、いやというほど目に焼き付けて、、、、
さあ。これからがほんとうの核心部。下りなのだ。

4初めてのロープに続く


こんばんは。
まきくまさん、怒涛の連続アップですね~。
なんかいつもと感じの違うレポにまきくまさんの真剣さと緊張感が伝わってきます。
オーロラさんは頼りになる人ですね。こんな人と一緒に登れるのはとても心強いですよね。

4/30朝のの登頂だったんですね。僕が一日早く入山してたら山頂バッタリできてたかも知れません。残念!
2007/05/06(日) 23:35:17 | |じゅん #-[ 編集]
はぁ~~。
何だか読んでいるうちに肩に力が。。。。
肩こったよ~~。
でも登頂できた喜びでまきくまさんと一緒に感動した!

輝子姫、頼りになるお方なんだね。
厳冬期の奇美世の滝のアイスクライミングに是非来ていただきたい!と思いました。
ステキ!輝子姫!!
2007/05/06(日) 23:53:32 | |木曽駒 #6wH.DH8I[ 編集]

佳境に入ったところで例のケツ画像をうp
2007/05/06(日) 23:54:29 | |しずか #-[ 編集]

1,2,3と一気読み。臨場感・緊張感溢れるいい文章です。
まきくまさんの真剣さ、喜び、吸収してやろうと言う前向きな姿勢がひしひしと伝わってきます。
それにしてもオーロラさんをはじめすごいメンバーですね!僕も手ほどきを受けたいくらいです。
2007/05/07(月) 00:06:36 | |カモシカ #-[ 編集]

いや~、いろいろとすごいですね。
雪上天泊はやったことありませんが、整地が大切なんですね。ばるほど。
オーロラさんの「本気のサポート」には読んでて身が引き締りましたよ。心構えが全然違いますね。見習わなければ。
2007/05/07(月) 00:50:06 | |ぴかさん #-[ 編集]

>「わたしは、そうしたところで止められはしないから今回はしないよ。そのかわり、だめそうなときはすぐにロープ出すから」と、オーロラさん。
といいながら、「本気のサポート」をしてくれる輝子さん。ステキな人だなー(おこちゃまとか言っちゃいけないな・・・うん)
でも、それを理解できたまきくさんもステキですよん。
登ってる風景の写真、小太り親方さんところで見たけれど、ものすごい高度間ですね。まきさん、すごいよー。

あっ、そろそろ会社いかなくちゃ・・・。続きはまたあとでよみます!
2007/05/07(月) 07:26:48 | |まゆ太 #Uc1kfBME[ 編集]

わはは、まっきーったらおおげさに書いちゃって。
気迫なんてなんもないよー、うそうそ。
人がよろければ後ろから支えるのなんてごく普通のことだし。

赤岳、余裕を持って登れてよかったねー
次回はもうちょい風の八ヶ岳を体験できるといいね。

> しずか
ケツ画像はまだ私の手元にあらず…
明日手に入る予定。
2007/05/07(月) 08:21:00 | |オーロラ #juZz/cEU[ 編集]

じゅんさん
>僕が一日早く入山してたら山頂バッタリできてたかも知れません。
ほんとですよー。風邪さえなければ~。そしたら、あの感動、もっともっと大きかったかも、、です。

木曽駒さん
肩こっちゃった? ごめん、ごめん。わたしもね、なんかやっぱ緊張してたみたいで、いま、ものすごい疲労感で、、、今日なんか仕事になりまへん。職場のみんなには申し訳ない気持ちでいっぱいですわー。でも、山にはタダの遊びとはいえないなにかがありますよね。

しずかちゃん
ケツ画像? だめだめ。ぶちこわしやないか~。それはまた。番外編で……ね。

カモシカさん
ありがとうございます。こんなだらだら長いのにつき合わせてごめん、です。でもねー、一気によんでくださったって、めっちゃうれしいですよー。ちと恥ずかしいけど、マジでしたから。わたくし。

ぴかさん
雪上テン泊は、整地が命ですよー。あとは敷布団です。雪面の冷たさをどうシャットアウトするか、、ですね。シュラフの厚さもさることながら、敷物のモンダイは大きいと思います。みんなの知恵を拝借したいところです。
2007/05/08(火) 01:27:06 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

まゆぴょん
うんうん、オーロラさんはね。本気だったと思う。でも、そういう人でなければ、私も一緒に行ってもらおうとは思わなかったかもねー。

輝子さん
>赤岳、余裕を持って登れてよかったねー
うん。ほんと、輝子さんとキューちゃん、そしてお天気のおかげですね。余裕はなかったけど、まあ、特に悲壮感なく登れたって感じかなあ。
>次回はもうちょい風の八ヶ岳を体験できるといいね。
ほんとですね。つらいのは経験したくはないけど、いつかは、遭遇するだろうし。そういう中でどのくらいやれるのか、、、一歩一歩ですね。

ケツ画像……そんなもん、手に入れんでよろし!
2007/05/08(火) 01:32:42 | |まきくま #E5Upi6Fk[ 編集]

> 余裕はなかったけど、まあ、特に悲壮感なく登れたって感じかなあ。

いや、体力的に余裕だったってこと。
1P目はあやしかったけど、2P目3P目は持ち直して大丈夫だったでしょ?

いろいろ感謝してくれてるようだけど、
私が背負って登ったわけじゃないし、
やっぱりまっきーは自分の力で登ったんだよ。

ほんと次回はもうちょい厳しいコンディションの赤岳に登りましょう。
そしてダチョウの肉を食べましょう。
2007/05/08(火) 07:44:56 | |オーロラ #juZz/cEU[ 編集]
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