まきくま山

まきくま山の備忘録。 山歩き・美味しいもの・愉快な仲間


母と雪の羽黒山神社に参りしてから、もう何年になるのか。
あのときの私とは全く違う自分がここにいます。
珍しく眠れない夜の時間が、この間にあったさまざまなことを思い返す貴重な時間となりました。
ずっと雨の音が響いていました。

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そして、光に満ちた朝がきました。
阿弥陀さんも朝の光に染まりました。

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昨日は全く見えなかった風景です。
小屋の前には雪渓が広がっていました。
その向こうから大きな大きな太陽が昇ってきます。


朝4時だというのにあたたかいお弁当を用意してくださった小屋主さんに感謝の言葉を残して、ゆっきーとふたり月山目指して出発です。

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振り返れば、二ノ岳の向こう、雲海に浮かぶ鳥海山が見えました。

眺めのいい斜面でザックをおろし、お弁当をあけておにぎりを一つずつほおばります。
刻々と変わる光と雲と景色。こんな朝、今までもいろんな山で、何度も何度も経験しているはずなのに、それぞれどんな朝とも違う、新たな感動がわいてくる。

来てよかったね。
山はいいね。
そんなことを言い合いながらおにぎりをほおばっていたら、小屋のほうでほら貝の音が響きました。

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ほどなく白装束の団体が歩いてきました。

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ここが特別の山であることを、感じる一コマ。

道はゆるやかな傾斜をきもちよくゆるゆると登っていきます。
ほどなく行者返しと呼ばれる一番の難所。前を行く白装束の人々の進みが遅くなるのがわかりますが、ほんの30メートルくらいでしょうか、急な岩がちな斜面を手を使って登りきればまた、なだらかな斜面へ。

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左手には雪渓と湿原が広がって、東北のやまらしい広大な緑の風景に、そして足元で咲き乱れる高山植物に心が躍ります。

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湿原の池塘のひとつに太陽の光が反射して、私のおでこを照らすのがわかりました。

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極楽って、こういうところじゃないかなあ。と、考えながら登ります。
なにせここは仏の世界。同じ山の景色でも、なんとなく受け取るものが違ってくるようです。

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やがて木道が現れて

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前方に小さな社が見えれば、そこが月山山頂です。

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振り返れば鳥海、行く手に朝日、飯豊のボリューム感のある連峰、そして蔵王の山々。
すべて雲海の上に神々しい姿を見せています。

山頂では先ほどの団体が祝詞を受けている最中でした。
高い山の頂に神社があって、参拝料を払わないと頂上を踏めない。
このシステム、立山もそうだったなあ、と思い出しつつ、大した違和感もなく私たち二人も繰り返し寄せてくる波のような、あるいはこの峰にずっと吹いている風のような神職の声に体をゆだねていたら、だんだん気持ちよくなってくるのでした。
昔からずっと続く信仰の理由がわかったような気がするし、あるいは昔から続いている壮大な仕掛けに思い切りはまってしまっているのかもしれません。

一段下がったところには祖先の霊を祀るための小さな場がありました。
山が大好きで、私を山に導いてくれた父と、羽黒山まで一緒にきた母を思うのにうってつけの場所ではないか。
そんなふうに思って、塔婆を二本求め、父と母の名前を記して手を合わせます。
そのとき、母をなくしてからずっと抱いていた気持ち、母に十分にしてあげられなかった後悔が、すーっと溶けて、もう幸せになってもいいんじゃないの? と、山に言われたような。
大変自分勝手なのですが、そんな気持ちになりました。
なにせここは極楽浄土の世界なのですから。

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ゆっきーとお揃いのお守り。山頂の焼き印を押してもらって、写真を撮りました。
こうして、十分すぎるほどゆっくりしてから山頂を後にしました。